パターン28:バッファローの山   

図5 バッファローの山

注:このパターン名は、図とコロラドにある特徴的な形をした山が似ていることに由来している。そして両者に関連する影響する事柄についての類似性にも由来している。

問題:

同一製品を一緒に開発しているメンバーのソフトウエア開発組織で、情報交換を最適にしたい。

コンテキスト:

開発組織はいくつかの分野にまたがっており、そこでは個人間の情報交換はプロジェクトを成功させるためのキーである。

その組織のために、名目上の中心(ハブ)はすで確立されている。

影響する事柄:

人数が増えるとともに情報交換のオーバーヘッドは非線形的に増加する。

情報の飢えあるいは役割の間の隔離は、不安定な製品部分を開発する要因となる。

情報交換のボトルネックを放置すると、仕事をする時間がなくなる。

情報交換のボトルネックは、他の作業者が仕事ができなくなるような、組織上のワークフローでの待ち行列を作る要因となる。

完全に分散された統制は、統制の崩壊を導きがちである。

解決策:

サブパターン1:プロジェクトに関するいかなる重要な相互関係においても、2つの協力関係にある役割の組織の中心からの距離の和は、組織の全体をカバーするのに必要な最短の距離以下でなければならない。

サブパターン2:もし組織の仕事に50%程度しか関与していない離れた立場にあるのなら、隣の位置にいる人(あなた自身のようにプロセスの中心から等距離にある人達、すなわち、全体としてあなたと同程度にプロセスに関わり合いを持つ人達)との関わりを避けなさい。

サブパターン3:いかなる相互関係の強さも、それぞれの役割のプロセスの中心からの距離の差の合計に逆比例すべきである。

手段A:上記の3つのサブパターンを効果的にするために、関連する協力関係が移動するように、役割の間で責任を入れ替えなさい(責任を移動のパターン参照)。これはRobert Laiのアイデアである。単純ではあるが大いに効果がある。

手段B:情報交換の機会を増すような物理的な位置に人々を配置しなさい(仕事は内向きに流れるパターン参照)。

手段C:プロジェクトにおける役割の統制の範囲を広げなさい(複数の役割を1つの役割に集めるということに似ている)。類似した責任を持つ役割を一緒にするというのは多分一番いいであろう。あるいは、類似した協力関係にある役割をいっしょにするのもよりよい方法であろう。そうだ、これらもパターンだ。

結果として生じるコンテキスト:

新しい組織では、役割の間での情報交換がよりバランスのとれたものになる。

論理的根拠:

これらのサブパターンは、最初の原理から導かれたものであるというよりも、むしろ経験的なものである。これらのパターンへの道筋を、肯定的で大いに効果のあるものとして認識することは重要であると考えられる。もし効果が見られれば、それを利用し続けなさい。

サブパターン1は経験的なものである。これは有力なサブパターンである。これは、全体的な方向性と結合力を与えてくれる「集中傾向を持つ分散統制」の一定のレベルを組織に与えてくれる。サブパターン1は、相互作用グリッドダイアグラムの作用点は、軸の近くに集中しがちであるというようにもいえる。

サブパターン2は派閥的な分離したグループを避けることができる。さらにこれはプロセスの離れた(支援的な)部分での繰り返し情報伝達(何人もの人を経由して情報が伝達されること)を避けるのに役立つ。繰り返し情報伝達(情報のパイプライン)は、相互作用グリッドダイアグラムの対角線のすぐ下に作用点を並ばせるという結果をもたらす。対角線上の作用点を避けると、より平行処理がしやすくなり独立性がある組織になる。

サブパターン3は、作用点を対角線からは遠ざけるが、原点からは遠すぎない位置に置くことにより、サブパターン1を緩和している。これは、プロセスの中心にあるコア部分を強固なものにする。また、そのプロセスにおいて、役割をまたがる負荷分散を平均化する。多くの組織は2つの形態を持っている。コア部分では密接に相互に影響を与え、実質的には離れた立場にいる人には少しも影響を与えない。したがって、全ての役割の間での負荷が平均化する。

これらのサブパターンは、これらが製品の品質を良くし、市場への出荷までの時間(time to market)を短くするという全般的な(説明するのは難しいが)特性を持つ。これらは、高度な統制の範囲と相関を持つ傾向がある。そして結果として、プロジェクトを完了するための人の数を減らし、情報交換のオーバーヘッドを減らし、結合力を改善し、そしてパターンそのものが自己改善していく要因となる。組織の中でこのようなことが起こるのを見ることは驚くべきことだ。