IPSJ (社)情報処理学会 ソフトウェア工学研究会
パターンワーキンググループ


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パターンワーキンググループ設立一周年記念セミナー

パターンワーキンググループ設立一周年記念セミナーは終了しました。
ご参加、ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。

開催報告

日時: 2004 年 5 月 27 日(木) 13:20 - 18:00
会場: 国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟 3階 310室
主催: 情報処理学会ソフトウェア工学研究会パターンワーキンググループ
参加者: 約 60 名

ワーキンググループ設立一周年を記念して、建築家の渡辺 誠氏をお招きして、建築/デザイン/科学/プログラムについて基調講演をいただきました。 研究者の服部 哲氏をお招きして形式手法と組織パターンについて招待講演をいただきました。 また、建築・ソフトウェア・コミュニティの各分野で活躍中の方々をお招きして建築とソフトウェアのデザイン・プロセスに関するパネルディスカッションを行いました。 さらに、実践タスク・学際タスク・研究タスクからそらぞれ活動成果報告を行いました。 最後に今後の活動予定として、 パターン綴方教室(パターンライティング教室)の紹介と参加者募集の案内がありました。

このページでは、 各講演の資料と、 質疑を中心とした議論の様子を掲載いたします。

プログラム 実行委員長: 太田 健一郎 (日本アイ・ビー・エム)
5月27日(木)
開会のご挨拶
13:20
基調講演:
13:30-14:50
渡辺 誠 氏
「INDUCTION DESIGN/ジェネレイティブデザイン」
渡辺 誠

「誘導都市/INDUCTION DESIGN」は、都市/建築に対する、これまでの設計とは異なる新しい設計の、「概念と方法」の探究、そしてその実践である。それは、現在の設計のように「線を決める」のではなく、「条件と意図から」建築を「生成」しようとするものだ。それには、新しいコンピュータプログラムが必要となる。したがって「誘導都市」は、コンピュータと、ひと、とのコラボレーションのありかたを探るもの、でもある。テクノロジの礼賛ではなく、忌避でもなく、ひと、とコンピュータのあたらしい関係を見つけること。それはまた、建築設計を「科学」に近づける試みでもある。そこでの科学は、従来のものではなく「複雑系」と呼ばれるものに近い。そしてこうした試みの背後には、「生きている」と形容される都市や建築と、生物のしくみとの、示唆的な関係がある。(渡辺 誠 著「建築は、柔らかい科学に近づく」前書きより抜粋)

(講演者紹介) 建築家。1952年横浜市生まれ。法政大学、東京電機大学他兼任講師。「青山製図専門学校一号館」、「K-MUSEUM」、「村のテラス」等の建築設計と平行して、コンピュータプログラムから建築・都市を生成する「誘導都市」プロジェクトを90年より進める。その成果でもある「地下鉄大江戸線飯田橋駅」が2002年日本建築学会賞を受賞。この3月には九州新幹線「新水俣駅」が完成。グッドデザイン賞金賞、米国ランドスケープ協会賞、iFデザイン賞top10(独)等、内外で受賞多数。著書に「建築は、柔らかい科学に近づく」(建築資料研究社)、「MAKOTO SEI WATANABE」(L'ARCAEDIZIONI/伊)、「INDUCTION DESIGN」(Birkhauser/スイス、Testo & Immagine/伊)、他がある。
Q&A

Q1. 紹介された通り、日照の量とか、風通しなど、個別の量を問題にして最適化したり制約条件として守りながら設計することはできると思うが、これら複数の量を総合してバランスを取るとなると、一挙に問題が複雑化すると思われる。実際の設計では、どのようなアプローチを取られているか?
A1. 言うとおり、問題が複雑になる。一つの量に基づいた生成はGA(遺伝的アルゴリズム)やニューラルネットワークを用いてやっているが、複数の量の総合を考えるとき、個別の解を出してから総合するというアプローチではうまく行かないと感じている。個別の解を出してから全体の解を総合する、ではなく、全体の解を一度に出す必要がある。そのために人工知能的なアプローチが何か使えないかと期待している。

Q2. 渡辺さんのような人を作るにはどうしたらいいのでしょうか。
A2. 私のどの側面に着目していっているのかわからないが、私のような建築家という意味で言うと、 ボトムアップのアプローチ、 文学的なハンドリングなどが重要。 人々との交流も必要。

Q3. パタン・ランゲージについてどう思うか?
A3. 学生時代に課題でやった。 ボトムアップにデザインを行うベースラインであり、 それに従えばそこそこのものはできるだろう。 しかし、 パタン・ランゲージは文学的で、 これを使って作ることができる建築には限界がある。

Q4. 渡辺さんの手法は、「形に関するノート」と同じ考え方か?
A4. 当時はコンピュータがなかったので、 記述とそのリンクというCascade形式になっているのが問題だ。 それで解決できない問題はどうするのか。 その意味で決定的なものはだせないし、 飛躍も出来ない。 これが、私の「人間の直感性+プログラムで解く手法」との違いだ。
(休憩 14:50-15:00)
パネル討論:
15:00-16:00

デザイン・プロセス ― 建築とソフトウェアの接点 ― (資料PDF)
司会者: 羽生田 栄一(豆蔵)
パネリスト:
      渡辺 誠 , ポジションPDF
      浅海 智晴 (浅海智晴事務所) , ポジションPDF
      羽田野 二稔(アプリケーションプラス) , ポジションPDF
      細谷 竜一 (東芝ソリューション) , ポジションPDF

招待講演者である建築家の渡辺誠さんも含め、建築、街、ソフトウェア、コミュニティ、のデザインや開発・保守に関わられている皆さんをパネリストに迎えて、パターンワーキンググループの学際タスク、実践タスクの方向性とも関わるテーマでパネルを企画しました。建築とソフトウェアという2つの分野で行われているデザインという行為をそのプロセスという観点から見直し、その類似性と相違について具体的な事例を交えてディスカッションする予定です。

羽生田 栄一 氏 (司会者紹介) オブジェクト指向歴20年弱。技術士(情報工学分野)。Xerox PARC研究所のSmalltallkに出会い、概念モデリングとソフトウェア技術の接点に自分の存在意義を見出す。街歩き・里山歩き・古書店巡り,そこで出合ったあらゆる事物をモデリングするのが趣味。現在は、(株)豆蔵取締役会長、日本でのソフトウェア開発の現場の変革を目指して、技術特化型ソフトウェアベンチャとしてメンタリングビジネスを通して日本の復活の可能性を経営者として追求。

(パネリスト紹介)
渡辺 誠 : (上述)

浅海 智晴 氏 浅海 智晴 : メーカーでUNIXワークステーション/サーバのOS、分散基盤、Web基盤の開発に従事後、2001年9月に独立。浅海智晴事務所を設立。現在はオブジェクト指向、Java、XMLを中心に活動を行っている。代表作はJava&XMLベースのオープンソース・ソフトウェアである SmartDoc (XML文書処理システム)、 Relaxer (XML/Javaスキーマコンパイラ)。

羽田野 二稔 氏 羽田野 二稔 : アプリケーションプラス株式会社代表取締役。メーカー系大手SI企業でシステムインテグレーション、代理店サポート、新規事業開発などの業務に従事。職種としてはシステムエンジニア(アプリケーション開発)、研究員等を経験後独立。システムコンサルティングと情報サービスの会社を設立。大企業、中小企業はもとよりベンチャー企業、SOHO、NPOなどの幅広いマネジメントのあり方をフィールドワークして、マネジメントとコミュニケーションのソリューションを企業及び行政に提案している。

細谷 竜一 氏 細谷 竜一 : 東芝ソリューション(株)SI技術開発センター所属。フレームワーク/コンポーネント及びMDA技術の研究・開発・支援に従事。情報処理学会会員。情報処理学会ソフトウェア工学研究会パターンワーキンググループ幹事。共訳書に「プログラムデザインのためのパターン言語」(ソフトバンクパブリッシング)。パターンやMDA関連記事執筆。University of Illinois at Urbana-Champaign 計算機科学修士。


討論

Q1. 全体の規模や、設計の見積りは?
渡辺氏. プログラミングは、建築における設計である。設計をどこまでやるかは、設計者が決めること。「よい設計」をしても余計にお金がもらえないことは建築の世界でも同じ。
羽田野氏. これまで、ゼネコン風に設計とそれ以外が同一場であることが多い。これからは、設計に特化して分かれてくるべき。そういうコンサルタント的な人が少し出てきた。オーバーしたお金は、SIer がかぶる。

Q2. 建築もソフトウェアも、最終的には設計者のセンス/経験に依存すると思う。センスのある設計者を教育で育てられるか?
渡辺氏. 建築は、まさしく大学でやっている。建築学科ではスター建築家を育てたい。レッスン:課題を出して、提出さして、講評して、を繰り返す。それを繰り返すと、学生の方で、自分の向き不向きや能力を分かってくる。そして絞られてくる。実際の場(コンペ)でもそういう感じ。
浅海氏. 難しい。数学なども大事だが、素直であるといった人としての資質。将来的には、優れたアーキテクトになるためのロールモデルを作成して、それを目標として早めに出す。プログラミングでも、レッスンは重要。
羽生田氏. 企業でもレッスンはやっている。時間はかかるが。
羽田野氏. 今までは、レッスンなどは取り入れられない傾向があったのでは。プログラミングは一人で閉じていた。チーム作業が大切。対話する能力。

Q3. 大学でもチーム練習などをやっているが、どうしても、こいつは駄目だという学生がいる。教育でもだめな場合は、淘汰されるしかないのか?
羽田野氏. 教育は、淘汰のプロセスである。会社もそう。100人で1人とか。淘汰された人は、別の可能性を探る機会となる。
羽生田氏. 建築では、CA のパターンランゲージがベースラインとなる。ソフトウェアにおいて、パターンWGがそういうものを作っていきたい。
細谷氏. 本当は、個々のパターンや、その背景の仕組みを探りたいのだが、まだそこまではいっていない。
渡辺氏. パターンランゲージは、「飛躍をどう組み込むか」「記述と現実の間をどう埋めるか」という点についてうまく対処できていないように思う。

まとめ
細谷氏. 右に曲がれ、左に曲がれ、ではなくて、デザインプロセスに、使いやすいといった非機能的特性の評価を取り入れる。環境の情報を取り入れる。
浅海氏. 開発者が楽しいということのフィードバックのエコ・システムを作ることがデザイン・プロセス。
羽田野氏. 渡辺さんの話で、駅はもともと開いているものということ。コミュニティでも開かれたものが延びてきている。参加しやすい。オープン。ソフトウェア開発でも、顧客などの利害関係者(ステークホルダ)間の関係を、閉じたものから開いた方向へ。
渡辺氏. 細谷さんの方向を変えるということ。浅海さんのスタープログラマ・ロールモデルが出て欲しいということ。羽田野さんの開かれたコミュニティ。それら全てが大事。

実践タスク報告:
16:00-16:45
アジャイル・ソフトウェア開発を快適にするテストパターン紹介 ― テストパターンサブタスク活動報告 ― (資料PDF)
小井土 亨 (オーエスケイ)

アクティブなテストを快適に実践するためのテストパターンをご紹介します。また、テストパターンサブタスクの活動についても、紹介します。

学際タスク報告:
16:45-16:55
「まちづくりの新しい理論」のご紹介 (資料PDF)
沖田 直幸 (横河電機)

学術タスクの活動報告を行います。 また、Alexander読書会にて輪講中のAlexanderによる「まちづくりの新しい理論」についての紹介を行います。

研究タスク報告:
16:55-17:05
ソフトウェアパターン研究文献調査 (資料PDF)
鷲崎 弘宜 (国立情報学研究所)

招待講演
(研究タスク):
17:05-17:45
服部 哲 氏
組織パターンと形式手法 (資料PDF)
服部 哲 (北陸先端科学技術大学院大学)

ソフトウェア開発組織における仕事の流れを確率ペトリネットで形式化する試みについて述べます。この形式化によって、Coplien の組織パターンのうち "Buffalo Mountain" と "Work Flows Inward" を組み合わせたパターンの有効性を解析します。

(講演者紹介) 大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程を経て、現在、北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科助手。ソフトウェアの基礎理論・検証法、ソフトウェア工学に関する研究に従事。


Q&A

Q1. トークンに重み付けできるか? 各仕事の重み付けは?
A1. トークンを複数個送ることで、対応することは可能。

Q2. 現実の仕事では、一定以上の割合で仕事が飛び込んでくると、そこがボトルネックとなるはずだが、こういった状況はどのようにモデル化されているのか?
A2. コミュニケーションの量のグラフに現れている。発火率が上がれば途中までは全体のコミュニケーション量が上がるが、一定以上では逆に下がる。

Q3. それぞれの発火率は、現実の仕事の様子からどのように計算して割り当てるのか?
A3. 例えば、メールの流通量などから求める。

Q4. 発火率とは、実際の仕事ではどういうことか?
A4. 全体量における割合を示す。

Q5. 自分から自分へのトランジションは取り扱えるか?
A5. 最新のモデルでは取り扱えるようになっている。

ご案内:
17:45-17:55
パターン綴り方教室:勧誘編 (資料PDF)
天野 勝 (永和システムマネジメント)

閉会のご挨拶
17:55

以前の案内

来る5月27日、情報処理学会ソフトウェア工学研究会パターンワーキンググループは、設立一周年を記念してセミナーを開催いたします。

設立一周年を記念して、多様なソフトウェア技術をデザインプロセスに導入し「やわらかい科学としての建築」の試みが注目されている建築家の渡辺 誠氏の基調講演をはじめ、建築・ソフトウェア・コミュニティと様々な分野で活躍中の皆さんをお招きした建築とソフトウェアのデザイン・プロセスに関するパネルディスカッション、パターンに関する各種研究の成果報告を予定しています。多数の方々の参加をお待ちしています。

事前申込み不要、参加無料です。 是非皆さんの積極的なご参加をお願いします。 なお、連絡事項や配布資料等がある場合もありますので、 パターンWGのホームページを適宜アクセスされることをお勧めします。

日時: 2004 年 5 月 27 日(木) 13:20 - 17:50 (13:00 開場)
会場: 国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟 3階 310室
      [ 小田急線 参宮橋駅 下車徒歩約7分 ]
      [ 地下鉄千代田線 代々木公園駅 下車(代々木公園方面出口)徒歩約10分 ]
主催: 情報処理学会ソフトウェア工学研究会パターンワーキンググループ
参加費: 無料
参加方法: 事前の申し込みは不要です。直接、会場にお越しください。
備考: ※当日のスケジュールは、変更される可能性があります。
照会先: patterns-wg-seminar@fuka.info.waseda.ac.jp